ふしぎ山 その3

NATURE DESIGN 木々

2015年06月03日 22:19

シダ類が鬱蒼と繁る垂直の崖に囲まれ、まるで深い穴の底ように感じる小笠山の深い谷。 植物の種類も変わり、空気も冷ややかで、少し前まで居た尾根の上とは別世界です。



小笠山には170種類以上のシダ植物が分布し、北限、東限種も多いシダの宝庫です。これもこの「谷間」がもたらす特殊な環境のためのようです。



本来、ある程度標高のある冷涼な場所に生えている植物が存在するのも、この「谷間」が影響しているようです。

トチノキやウラジロノキなどがある程度集中して生えている場所も、この谷の底や周辺でした。砂利質の土壌を通ってよく水の集まる谷間は空中湿度が高く、その急峻な地形により、直射日光はほぼ遮られています。そのため気温の変化の幅が少なく、安定しているようです。加えて地域特有の吹きすさぶ風がよどみやすい谷間の空気を適度に入れ替えているようにも思いました。
こういった地形と気象条件が、例外的な植物の定着を促しているのだと思います。







小笠山はおもしろいです。植物は地域や気候で住み分けをし、分布しているという認識をもって立ち入る人間を、意外性と新鮮な驚きで楽しませてくれます。

植物の定着には、好適な環境の成立が根本的な条件なんだと改めて感じます。

庭や生活圏おける植栽も、人間の都合で植えるのなら、その環境を整えてあげる事の大切さを改めて感じました。

仕事で行き詰まったら、また新たな発見を求めて行ってみたいと思います。


今の時期はヤマアジサイやコアジサイが清楚で控えめな花を咲かせています。



関連記事